世界遺産「忍野八海」を全部廻った。「出口池」は見つけるのが難しい。
2013-06-03T18:00:29+09:00 2013/06/03
忍野八海は、「世界文化遺産「忍野八海」には関係ない池が2つある」でも紹介したように、富士山から流れ出した雪解け水が湧いて出た泉の湧泉群です。
富士講信者が富士登山のときに「八海めぐり」という巡礼を行っていることから「八海」の名前が付いたそうです。
富士講では富士山周辺の霊場を巡る巡礼(内八海)と、関東や近畿地方の湖を中心に巡る巡礼(外八海)がありました。
そして、この忍野八海を「元(小)八海」と呼んだでいたと言われます。
忍野八海は国の天然記念物や名水百選にも指定されていますし、新富岳百景にも選定されています。
しかし既に紹介したように土産物屋や飲食店等が増加しています。
それにより、自然が破壊されることになり近くを流れる川にはゴミも目立つようになりました。
一説によると、湧水の枯渇も起きる可能性があるそうです。
それを物語るかのように、人工池の「中池」近くにある水車小屋では、八海の一つ「湧池」から水を汲み上げていることで、湧池の湧水量が激減し2003年頃に池の縁が一部崩壊したそうです。
今現在でもかなりの観光客で賑わいを見せていますから、この先世界遺産に登録されることになればなおさら観光客は増えるでしょう。
そうなるとどこまで今の自然が保たれるかは疑問が残るところです。
さて、忍野八海には8つの池があります。
しかし、6つまでは比較的簡単に見つけられるのですが、残り2つが中々見つけられません。
色々調べると「榛の木林資料館」の敷地内に1つあることが分かりました。
ここに入るには観覧料金がかかります。
そして、最後の1つ「出口池」ですがこちらに行くには車で行くほど遠いところにあるのです。
中池付近から山中湖方面に10分位走ったところの右側に見えてきます。
この看板は前の記事で紹介しましたが、菖蒲池近くにある「かやぶき茶屋」の出口にある看板です。
これを見ると分かるように、「出口池」だけかなり遠いところにあるのが分かると思います。
忍野八海周辺の地図はたぶんここにある看板と湧池付近のものだけだと思います。
もし八海を全て巡ろうと思ったら、周辺の有料駐車場に車を停め、そこで配布している地図を手に入れたほうが良いと思います。
おそらくどの駐車場でも無料で配布しているはずです。
世界文化遺産「忍野八海」の「出口池」・メニュー
- 湧池(わくいけ)
- 濁池(にごりいけ)
- 鏡池(かがみいけ)
- 菖蒲池(しょうぶいけ)
- 銚子池(ちょうしいけ)
- 御釜池(おかまいけ)
- 底抜池(そこぬけいけ)
- 出口池(でぐちいけ)
- 忍草浅間神社は菖蒲池の奥にある
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湧池(わくいけ)
御土産屋の近くにあります。
広くはないのですが深さがあります。そのためか湧水量は忍野八海最大です。
尚、全ての池には「零場(れいじょう)」としての番号が付けられています。
これは、富士講信者が八海めぐりの巡礼をしたときに付けられたものだと思います。
そして、それぞれに竜王の名が付けられ祀られており、石碑には和歌が刻まれています。
ちなみに、「零場」とは神仏の霊験あらたかな場所のことで、神社・仏閣やゆかりの地等といった神聖視される場所をいいます。
湧池は第5の霊場・徳叉迦竜王(とくしゃかりゅうおう)。
石碑には「くむからにつみはきへなん御仏のちかひぞふかしそこぬけの池」との和歌が刻まれています。
写真はクリックで拡大されます。
ここにもアルビノ。
この池が一番美しいかもしれません。
直ぐ近くには雪解け水が湧き出しています。
湧池の近くにある水車小屋。
濁池(にごりいけ)
湧池のすぐ向かいの川に隣接しています。
湧水は地底から少しだけ湧いているそうです。
第6の霊場・阿那婆達多竜王(あなばたつだりゅうおう)。
石碑には「ひれならす竜の都のありさまをくみてしれとやにごる池水」という和歌が刻まれています。
写真はクリックで拡大されます。
鏡池(かがみいけ)
中池から奥に入った道沿いにあります。
池というか沼みたいな感じです。しかし、逆さ富士を映すということで鏡の名前が付けられています。
鏡池は第7の霊場・麻那斯竜王(まなしりゅうおう)。
石碑には「そこすみてのどけき池はこれぞこのしろたへの雪のしづくなるらん」という和歌が刻まれています。
写真はクリックで拡大されます。
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菖蒲池(しょうぶいけ)
鏡池を少し行った所にあります。
ここも池というより沼。奥には菖蒲の花が咲いています。
菖蒲池は第8の霊場・優鉢羅竜王(うはつらりゅうおう)。
石碑には「あやめ草名におふ池はくもりなきさつきの鏡みるここちなり」。
写真はクリックで拡大されます。
銚子池(ちょうしいけ)
濁り池から流れる川沿いに歩いていくと左側に入口が見えてきます。
ここは池というより水溜りみたいな感じです。
ここは湧水が間欠(かんけつ)的になっているそうです。
間欠的とは一定の時間を置いて止まったり起きたりすることです。
銚子池は第4の霊場・和脩吉竜王(わしゅきちりゅうおう)。
石碑には「くめばこそ銚子の池もさはぐらんもとより水に波のある川」という和歌。
写真はクリックで拡大されます。
御釜池(おかまいけ)
銚子池を川沿いに下っていくと右側にあります。
途中に案内看板が出ていますから分かると思います。
写真はクリックで拡大されます。
川にはカルガモだろうか、親子で餌を探していました。
家の入口には水車と花。
この季節赤いつつじしか咲いていませんでしたから、これは造花だと思います。
池は大きくはありませんが深さがあるようでした。
調べて見ると、直径2m深さは4mあるそうです。水量もかなりあり、虹鱒らしき魚も泳いでいます。
御釜池は第2の霊場・跋難陀竜王(ばつなんだりゅうおう)。
石碑には「ふじの根のふもとの原にわきいづる水は此の世のおかまなりけり」との和歌。
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底抜池(そこぬけいけ・そこなしいけ)
この池は先のブログ記事でも書きましたが、「榛の木林資料館」の敷地の奥にあります。
この池を見に行くには観覧料を払わなければなりません。
底抜池は第3の霊場・釈迦羅竜王(しゃからりゅうおう)。
石碑の和歌は「くむからにつみはきへなん御仏のちかひぞふかしそこぬけの池」。
写真はクリックで拡大されます。
出口池(でぐちいけ)
忍野八海の中で最大の池です。面積は1,467m²あります。
そして他の池と最も離れていますから、車で行ったほうがいいと思います。
出口池は第1の霊場・難陀竜王(なんだりゅうおう)。
石碑には「あめつちの ひらける時にうこきなき おやまのみつの 出口たうとき」。
標識が見えてきますからここを右に行きます。
写真はクリックで拡大されます。
この辺から池に下りることができます。
池の向かいには御稲荷様が祭られています。
地元の人に聞いたところ、昔付近にきつねがたくさんいていたずらをしたことからこの神社がが建てられたそうです。
忍草浅間神社は菖蒲池の奥にある
忍草(しぼくさ)浅間神社が菖蒲岩の奥のほうに鎮座しています。
入口にはここで祭られている、国指定の重要文化材「三神像」の看板が建てられています。
この三神像は、正和4年(西暦1315年)丹後国の仏師「静存(しょうそん)」の作だと言われています。
神社が創建されたのは大同2年(807年)、平城天皇のころと伝えられています。
その後何回か再建、造営され現在に至っています。
本殿では、「木花咲耶姫命(このはなさくやひめのみこと)」・「鷹飼(たかがい)」・「犬飼(いぬかい)」坐像の三神像が祀られています。
鷹飼は木花咲耶姫命の夫である「天津日高日子番能迩迩芸能命」、犬飼は木花咲耶姫命の父「大山津見神」です。