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静岡県の2種類の土東部の「黒ボク土」と西部の「赤土」の違いや特徴 栽培の使い分け

2019-06-24T01:01:08+09:00 2019/06/24

静岡県は西部と東部で分かれています。

この西部と東部で大きな違いにありませんが、実は土の色が全く異なり、それにより育つ野菜なども変わってきます。

今回は静岡県の「黒ボク土」と「赤土」について説明します。

「黒ボク土」と呼ばれている富士の土とは?黒いとは理由は母体の火山灰土と腐植

富士山麓の富士市の大地は、黒く、「黒ボク土」と呼ばれる土が8割を占めています。

黒ボク土の母体は火山灰土と腐植です。

この黒ボク土は名前にある通り、黒く腐食を多く含みフワリ(ホクホクともいう)とした特徴からこの名称がつきました。

富士山の麓、富士市の黒ボク土は、古代に富士山が噴火したときの火山灰土が含まれています。

黒ボク土の概要

黒ボク土は、黒土と呼ばれることもあります。

黒ボク土は日本の国土の31%程度に分布し、国内の畑の約47%が黒ボク土です。

国外ではほとんど見られません。

母材である火山灰土と腐植ですが、下層は褐色。

火山山麓の台地や平地でよく見られ、一部の火山地帯ではない場所でも黒ボク土が存在する場合があります。

黒ボク土ができる過程について

火山噴火により地上に火山灰が積もり、その上に植物が茂ります。

枯れた植物は分解されて腐植となり、長い時間をかけて黒ボク土となります。

例外としてローム層というものがあり、これも火山灰土が母体だが、時代と気候が冷涼だったため植物が分解されず、黒ボク土とは異なる土となりました。

なので、必ず火山灰土が黒ボク土となるわけではないようです。

黒ボク土の栄養素や特徴、注意点について

火山灰に含まれる活性アルミナと有機物が結合するため、他の土と比べると有機物の含有量が非常に多いうえ、有機物の効力で農作につよい土と言われています。

保水性や透水性が良く、緻密度(土の硬さ)が低い、つまり比較的軽く柔らかいのが特徴です。

一方で、土に含まれているアルミナの影響でリン酸分の吸着力しまい、作物にも必要なリン酸がなくなってしまう事があります。

これを回避するには、適度な追肥が必要となります。

追肥を行いたくない場合は、排水性と程よい保水性を重視する作物を選ぶと良いでしょう。

また、水はけと通気性もよくありません。

鉢植えで使うときに根腐れを起こす原因となるので、腐葉土やパーライトを混ぜて水はけと通気性をよくして使いましょう。

黒ボク土と相性の良い野菜や栽培について

黒ボク土が存在する土層は深く均一であることから、根菜類や木類と相性が良いと言われています。

お茶やみかんの栽培が盛んなのはその影響かもしれません。

黒ボク土で根菜を育てると、変形しにくいそうです。

黒ボク土の写真

さつまいも

土中で四方八方へ肥大しやすいため、紡錘状のきれいなさつまいもができます。

また、土壌の上〜下層にかけ安定した適度な水分があるため、真夏に生育するさつまいもには最適なのです。

にんじん

にんじんは土の下へ伸びる作物です。

途中で硬い土の塊や層があるとそこで生育が止まり余計なストレスがかかり、ガリガリ感、えぐみが出やすくなります。

土の硬さが均一な黒ボク土が向いています。

浜松市の「三方原大地」の土はどうして赤いのか?理由は、腐植していないため

静岡県西部の浜松市は、豊かな自然環境に恵まれており、北は赤石山脈、東は天竜川、南は遠州灘、西は浜名湖と四方を異なる環境に囲まれています。

三方原台地は天竜川の扇状地が隆起してできた土地で、赤土と砂層のやせ地のうえ、水の便も悪く農業に適さず、江戸時代までは荒地が広がっていました。

ところが、この赤土、一般的な園芸用の赤玉土とはずいぶん性質が違うんです。

粘土質を含んでおり、耕すのに一苦労します。

赤土は基本、火山灰が積み重なって乾燥し出来た土で、褐色で粒状、肥料成分を含んでいないという特徴があります。

清潔で弊害がない使い勝手のよさから、園芸やガーデニングの主流の土として知られています。

話は戻りますが、静岡県東部は黒ボク土が中心です。

なぜ、同じ静岡県内なのにこんなに土に違いがでたのか?それは、腐植があったかないかによります。

前者で説明した黒ボク土は、火山灰土に腐植が加わり黒くなったものでした。

そして、赤土には腐植をせず火山灰土のみで乾燥したため赤いままの土になりました。

もっといえば、浜松のような平地で大きな山もなく、森林が富士ほど少ないというのも要因でしょう。

赤土(赤玉土)の特徴、水はけや水もちのバランスがよい万能土

植物が好む土にはいくつか条件があり、粘度、水はけ(排水性)、水もち(保水性)、肥料もち(保肥性)、通気性などが植物によって土質が変わります。

赤玉土は、肥料成分がないため虫や菌が寄り付かない清潔な土で、水はけ、水もち、肥料もちがよいことから、園芸やガーデニングに欠かせない基本用土の1つになっています。

大抵の植物は、赤玉土3~8:他の土や肥料2~7の割合で混ぜた土で育てられるといわれ、植物の好む生育環境に合わせて土の割合を調節して育てます。

植物は、主に根っこから水や空気を吸って生きているので、土の粒と粒の間には水と空気が必要です。

赤玉土は、粒状の土の集合体なので、粒の中や粒同士の隙間に水や空気がたまり、植物の根っこがそれを吸収しやすい構造になっています。

土には、酸性とアルカリ性があり、中性として数値が低いと酸性、高いとアルカリ性寄りの土となります。

赤玉土は、弱酸性の土です。

日本は酸性雨が降るため、手を加えていない土地は基本的に弱酸性で、日本で育つ植物は、弱酸性~酸性寄りの土を好むことが多いです。

また、赤玉土は栽培以外にも使えて、金魚やメダカを飼育するとき、水槽の底に赤玉土を使うと、水が弱酸性になって藻が繁殖しにくくなる効果もあります。

ただ、赤玉土は古くなると水はけが悪くなるので、定期的に新しいものを使うようにしてください。

よい赤玉土の見極め方

赤玉土の状態を見極めるには、水を入れたコップに赤玉土を入れてかき混ぜます。

その中で粒が崩れないものが質がよい言われています。

悪いものは、崩れて砂になったり溶けたりします。

赤玉土を使うのにおすすめの植物や野菜

多肉植物に適していることで有名です。

浜松市では、三方原台地の酸性土壌の赤土と太陽の光を使って「三方原ばれいしょ」というじゃがいもが盛んに栽培されています。

でんぷん質が豊富で肌のきれいな高品質なばれいしょとして全国で高い評価を受けています。

セルリー

シャキッとした歯ごたえで、静岡県を代表する洋野菜、セルリー。

浜松市は長野県と並ぶ、二大産地です。生産時期も冬場は浜松産、夏場は長野産と二分されます。

チンゲンナ

栄養豊富な中国野菜として広く人気を集めているチンゲン菜は、昭和47年の日中国交正常化以降、中国から日本国内にもたらされました。

農協で女性・高齢者を対象にした農業として試験栽培を開始。昭和56年頃からは浜松・浜北で生産され、日本でも1・2を争う産地となっています。

さつまいも (甘藷かんしょ)

さつまいもは、古くから市内全域で栽培されてきた作物です。

現在では、浜松市農業バイオセンターから供給される優良な苗を利用して高品質なさつまいもが栽培されています。

プチヴェール

ケールと芽キャベツから誕生したプチヴェールは、ビタミンやカロテン、鉄分、カルシウム等のミネラルを多く含んでいます。

静岡県内では浜松市を中心に販売しており、静岡県東部ではまだ知られていない地域もあります。

黒土と赤土の違いや使い分けについて

黒ボク土については説明しましたが、腐植の量が多いために黒くなり、土が軽く柔らかいのでお茶や根菜栽培に向いています。

赤土は万能土で、大体の栽培や野菜に向いていますが、腐食が少ないために土が重く、固まりやすい、締まりやすい傾向がありますから、腐葉土や堆肥を十分に入れて有機質を増やし、柔らかくしてから使いましょう。

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