世界文化遺産「本栖湖」は内八海巡りという富士講信者の巡礼地
2013-06-04T18:00:38+09:00 2013/06/04
本栖湖は富士五湖の最西端に位置する湖。
今は発行されていませんが、日本銀行の5千円札(D号券)の裏面に富士山の逆さ富士が映る湖として描かれていることで知られていると思います。
このD号券からお札に描かれる肖像が文化人となり、これには東京女子大学初代学長「新渡戸稲造(にとべいなぞう)」が選ばれました。
現在発行中の野口英世の1000円札(E号券)にも描かれています。
これも本栖湖に映る逆さ富士で、風景写真を得意とした新潟県の写真家「岡田紅陽(おかだ こうよう)」の「湖畔の春」という作品を基にしています。
5千円札(D号券)との違いは湖畔に生える松が桜になっています。
本栖湖はこの1000円円札に描かれていることで構成資産に選ばれました。
当初の世界遺産登録の推薦書原案では含まれていなかったようですが、本栖湖が1000円札に用いられていることでイコモスの求める「国際的評価のある展望線」という条件を満たす可能性が最も高いのではないかということで、構成資産に含むことになったそうです。
ただ、その後本栖湖だけが含まれることで一部の反発を呼ぶことになってしまいます。
困った山梨県は、そこで他の富士五湖も全て構成資産に含むということで周囲の了承を得て、世界遺産登録を目指すことになったそうです。
富士講との関わりもあります。
富士講の開祖「長谷川(藤原)角行」は「八海水行」という修行を行っています。
八海水行は富士山周辺の湖沼で行った修行らしいですが、その中に本栖湖も含まれています。
これは16世紀後半に角行が書いたとされる文書に本栖湖が書かれているそうです。
また、富士講を発展させた富士講の指導者「食行 身禄(じきぎょう みろく)」は「内八海巡り」の巡礼地として、本栖湖を含む富士五湖が対象になっています。
これらのことから、当然富士講信者の間でも8つの湖沼を巡り水行を行うという「内八海巡り」は定着していきました。これは昭和の初期まで続いたそうです。
内八海巡りに含まれていた湖沼は以下のようなものです。
内八海は富士五湖の各五湖と明見湖(あすみのうみ、富士吉田市)、四尾連湖(志比礼湖、しびれのうみ、市川三郷町)、泉端(泉水湖、せんづのうみ、富士吉田市)が近世富士講の巡礼地であった。しかしそれより以前は、泉端ではなく須戸湖(沼津市・富士市)を含めて「富士八海」とされていた。・・・引用元・富士講
世界文化遺産「本栖湖」・メニュー
- 本栖湖の概要
- 竜神様の伝説
- ボート乗り場と遊覧船
- 東海自然歩道
- 湖畔のキャンプ場
- ヒメマス釣り場
- ウインドサーフィンのメッカ
- 竜ヶ岳登山
- 「本栖寺」は台湾を本山とする佛光山の分院
- 富士山を望める岬の先端には祠がある
- 1000円札に描かれている場所
- 詳細資料・関連記事
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本栖湖の概要
- 所在地・・・山梨県南都留郡富士河口湖町・南巨摩郡身延町
- 標高・・・902m
- 面積・・・5,05k㎡(wikipedia・4,70k㎡)
- 湖周囲長・・・11,82km
- 最大水深・・・138m(富士五湖で一番深い)
- 観光・アクティビィティー・・・キャンプ・観光船・フィッシング・ウインドサーフィン・竜ヶ岳登山
竜神様の伝説
139号線から本栖湖に入るとすぐに大きな駐車場や御土産屋、飲食店が建ち並んでいます。
この駐車場や周囲にあるレストランは本栖湖が一望できるとても景色が良い場所です。
駐車場の隅には「与謝野晶子」の歌碑と竜神様の祠が祀られています。
写真はクリックすると拡大されます。
下の看板によると竜神様の伝説は、その昔「セの海」という大きな湖に住む龍が現われ富士山の噴火を予測し周囲の村人に知らせくれたそうです。それにより村人は事前に避難ができました。
噴火後に帰ると噴火によりセの海が3つに分断されています。これが今の本栖湖・西湖・精進湖だそうです。
本栖湖という名前は村人が、元の巣に帰ってきたということで改めて付けられた名前です。
こんないきさつで、災難からの守り神としてここに竜神様を祀っているそうです。
「第七番古根竜神様」と名づけられています。
詳しくは下の看板をご覧ください。写真はクリックで拡大されます。
側には湖畔に下りれる階段が付けられています。
本栖湖の案内看板。
透明度は18mあるそうです。
ボート乗り場と遊覧船
下に降りるとログハウス風のトイレがあり、その前から湖畔に入ることができます。
写真はクリックすると拡大されます。
料金はペダルボート(足こぎ):2人乗り30分1100円、3人乗り30分1600円、ローボート(手こぎ):30分600円、1時間1100円。
営業時間は8時から17時。4月1日から11月30日までの晴天時に営業しています。
遊覧船は1隻だけ運行しています。
写真のものは「もぐらん」という潜水艦型遊覧船です。
5月下旬から7月中旬まで運行しており、大人900円・子ども(小学生450円)です。
9時半から40分間隔で15時半まで営業しています。
船底からは湖の中が見えますよ。
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東海自然歩道
東海自然歩道とは、東京都八王子市の高尾山周辺の「明治の森高尾国定公園」と、大阪の「明治の森箕面国定公園」を結ぶ総延長1,697.2 km という長距離自然歩道です。貴重な文化財と豊かな自然に出会えます。
東京都・大阪府・京都府・神奈川県・山梨県・静岡県・愛知県・岐阜県・三重県・滋賀県・奈良県の各都府県を国定公園が繋がれており、全コース歩くと1ヶ月以上かかるといわれます。
コースは22に分類されており、この辺は紅葉台入口から割石峠までの「5・樹海コース」になります。
5コースは全部歩くと5・6時間かかります。
写真はクリックすると拡大されます。
湖畔のキャンプ場
本栖湖畔には何箇所かキャンプ場が整備されています。
これは「本栖湖キャンプ場」といい、湖の東側に位置しています。
見た感じ一番広いように思えました。
利用料金はテント1張り2500円、バンガロー3500円~、ロッジ25000円、コテージ(4人)18000円となります。炊事場や売店、シャワー、トイレ等が設置されています。
写真はクリックすると拡大されます。
自衛隊もここに宿営して訓練を行っています。
北側にある「浩庵キャンプ場」。ここは通年営業しています。
カヌーや自転車、ウインドサーフィン、キャンプ用品等のレンタルもあります。、
レークサイドキャンプ場。ここも北海岸に位置しています。
テント・オートキャンプサイト150、バンガロー60棟があります。
7・8月のみ営業しています。
キャンプ場の詳細はページ下部の「詳細資料・関連記事」でご確認ください。
ヒメマス釣り場
本栖湖はヒメマス釣り場としても人気があります。
富士五湖の中でヒメマス釣れるのはここと西湖だけなのです。
ヒメマスというのはサケ科の淡水魚で、臭みも無く脂が乗ってたいへんおいしい魚です。
刺身、塩焼き、ムニエル、等どんな料理でも食べられます。
今は禁漁期間のため入口は閉鎖されています。
この場所は湖の中では南西側に位置するところにあります。ここから貸しボートに乗って2・300m程沖合いに出て釣ることになります。
釣り方は「ヒメトロ」と呼ばれるトローリングと餌釣りがありますが、ヒメトロは手漕ぎボートではできませんので餌釣りということになります。
専用の「サビキ」と呼ばれる仕掛けを使って釣りますが、イクラや集魚版を付けると釣果が上がることがあります。
魚がかかると普通は竿が曲がり水面に引き込まれるのですが、ヒメマスは「食い上げ」といって針に掛かると上に上がります。そのため竿は曲がらず逆に曲がったものが延びてきます。
このような特性を持っていますので、軟らかめの竿を使い重めの錘を下げ竿を最初から曲げておくことが必要になります。
これを知らないと魚が掛かったことが判断できませんので注意が必要です。
ヒメマス釣りが解禁されるのは年2回。4月1日~4月31日と10月25日~11月25日です。
ヒメマス入漁料は3150円、貸しボートは別で2名まで2,500円となります。
ヒメマス以外では入漁料1日800円(現場売り1000円)です。
ブラックバスやブルーギル、鯉、ナマズ、フナ、ハヤ等を狙うことができます。ただし看板に書かれているように、オオクチバス、コクチバス、ブルーギルの持ち出しと放流は禁止されています。
写真はクリックすると拡大されます。
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ウインドサーフィンのメッカ
本栖湖はウインドサーフィンのメッカです。昔はジェットスキーと言われる水上バイクも走っていましたが今は禁止されています。
尚、禁止されておるのはレジャーによる動力船全般ですからモーターボートも含まれます。
違反した場合には自然公園法第70条により罰則(6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金)が適用されます。
今は多くのウインドサーファーで賑わっています。
この辺は湖の西側です。あまり車の通りも激しくないので路上には数十台の車が停まっています。
写真はクリックすると拡大されます。
竜ヶ岳登山
本栖湖畔から竜ヶ岳という山に登山ができます。
車は本栖湖キャンプ場に停めることができます。
標高は1,485mの山ですから、登るのにおよそ2時間~2時間半はかかります。
「端足峠(ハシタ峠)」は竜ヶ岳の西南鞍部に位置します。
「本栖寺」は台湾を本山とする佛光山の分院
西側の湖畔には「本栖寺」という台湾のお寺さんがあります。
HPを調べて見ると、日本モーターボート競走会連合会が所有する15000坪程の土地と建物を購入して「本栖寺」とし、日本における仏法の弘揚の場にしたそうです。
ここは臨済宗佛光山等の代表的日本道場で、主に人間仏教の実践を提唱、及び短期の仏法講習会を開催しているみたいです。
入場は無料です。誰でも入ることができます。
写真はクリックすると拡大されます。
敷地のあちこちにかわいい石像が置かれています。
太極拳でしょうか、全ての像が武道の型を作っています。
建物は大きなものが3棟位ありかなりの広さです。
体育館や教育施設、会議室等が10ヶ所、レストランやサウナ付き大浴場も3つ完備されているようです。
この日もなにかの研修みたいなものが開催されていました。
日本語ではないので何を言っているのか分かりませんでした。
トイレに行きたくて施設の関係者らしい人に尋ねましたが、そこそこの日本語で丁寧に場所を教えてくれました。
富士山を望める岬の先端には祠がある
多分「長崎」という岬だと思います。
湖の西側に位置しています。
ここには湖に出っ張った岩があり、その上には古びた祠がありました。
何を祀っているのか分かりませんが、この位置は富士山を正面にしたかなり御利益がありそうな場所です。
写真はクリックすると拡大されます。
富士山をバックにして絶好のロケーションの場所に設置されていました。
対岸は本栖湖入口付近です。これも竜神様かな?両側で湖を守っているのかも知れませんね!?
それか、近くに浅間神社があるから、そこの境外社かもしれません?
1000円札に描かれている場所
1000円札に描かれている場所は下部温泉郷から上がってきた道との交差点付近にあります。
写真はクリックすると拡大されます。
私も一枚撮りました。